♦今月のトピックス
車椅子ユーザーに聞いてみた!
大学に通うための問題点や課題、困難を乗り越えた方法とは!?
『〜国試合格までの道のり〜』
近年、障害を持ち大学に通う方も多くなってきてはいますが、まだまだ障害を持った方が大学に通うには多くの問題があります。学力があったとしても、障害によっては諦めざるえないこともあるのが現状だと思います。
そのような現状の中、「高等養護学校を卒業後、大学に進学し国家資格を取得することができたAさん」にお話を伺う機会をいただいたので、3回にわけて掲載いたします。
Aさんが挑戦された当時は通学就学支援事業という制度はなく、通学ひとつ考えても大きな課題になります。大学までの移動は介助者が使える制度はなく、家族や友人に頼むか、ボランティアを自分で探すしかなかったと思います。また、大学のバリアフリー状況は整っているかなど、情報を集めるのも苦労されたと思います。
Aさんは、入念な下調べと、持ち前の人柄で周りのサポートをつのり、大学を卒業されました。
その際の困難や工夫、友達との関わりや思い出などをインタビューさせていただきました。
障害を持っていてこれから大学進学を考えている方の道標になれば幸いです。
【回答者Aさんプロフィール】
性別:女性
年齢:20代
障害名:脳性麻痺
電動車椅子ユーザー
高等養護学校卒業後、大学進学し、社会福祉士の国家資格を取得。現在一般企業に就職し、フォーラムなどでの講演活動も行っている。
~障がいを持っているというだけで大学に通うことは物理的な面で、とても難しいと思います。通学や学校内はバリアフリーなのか、勉強の仕方など自分の障害特性に合った勉強方法など、大学選択の事前準備を教えてください~
Aさん:「高校の時に大学見学に行き、毎年見学するというカリキュラムがありました。私はもともと大学に通いたいという希望が最初からありました。バリアフリーじゃないと難しいと考えていました。私が進学した大学の方がサポート体制が整っていました。勉強の面でも、数学的なことが苦手で、いま考えると、頭で考える空間認知能力、数学が本当にできないし、教科の勉強より、得意なことを活かした方が良いと感じ社会福祉学のある大学でバリアフリーの環境の整っている場所を選択しました」
~車いすを使用していると受験会場の机の高さや幅など、障害に合った配慮が必要な部分があると思います。試験時間内に解答用紙に記載することが難しいこともあるのではないかと思うのですが、受験する時は学校側からのサポートはありましたか?~
Aさん:「私はAO入試でした。発表や自分の思いを伝えるのが得意だなと思っていたのでAO入試を選びました。高校の先生と課題など取り組んだりはしていましたが、面接自体は母の送迎で行きました。AO入試は面接や小論文がありますが面接での配慮や、例えば小論文の用紙を大きなサイズにしてもらうなどの配慮は、特にしなくても大丈夫だったのでお願いはしていないです」
~公共施設などはバリアフリー化が進んでいるとは思いますが、大学館内すべて段差、ドアの開閉など設備についてはバリアフリーでしたか? サポートは?~
Aさん:「他の大学に比べたらバリアフリーが多かったかと思います、ドアは普通の重いドアだったりしたんですけど、学生がサポートしてくれる委員会のような体制がありました。私が入学する前まではサークルとしてそのような活動をしていたようですが私が、入学する年に大学として障害のある学生を受け入れる体制を整える決まりが出来たみたいです。サークルじゃなくて学校として有償ボランティアで行いましょうという形になったようです。それまではサークルのボランティア活動なので金銭は発生しない形だったようです」
~Aさんが大学に通っていた時代は通学就学支援などはなく、ヘルパー制度では通学支援は対象外なため通学にはとても苦労をされたと思います。通学はどのようにされていたのでしょうか、通学は学生さんが自宅まで迎えに来るんですか?~
Aさん:「はい来てくれました。大学に学生がサポートしてくれる委員会のような有償ボランティア体制があり、通学でのサポートなどがありました。」
~大学に通うにあたり、大学の近くに引っ越しをしたとのことですが、車いすを使用しているとアパートやマンションに入る際の段差や玄関のなど住みやすい部屋を探しというのは大変時間がかかると思います。どのタイミングでどのようにされましたか⁉~
Aさん:「受験が終わり、大学生協に聞いて数件見て決めました。車椅子の学生がサポートを受けるには大学の徒歩5分圏内の場所に住んでサポートを受ける、という暗黙の了解があったようでした。私の場合は自動ドアでなければ難しいし、姉も車椅子なので姉が遊びに来た時に狭い家では無理なので私は徒歩15分の場所に住みました。大学の先生から最初、それはちょっと遠いと言われましたが、住む場所を自分で決められないのはおかしいと学生達も言ってくれましたし、自分でも伝えました。」
~有償ボランティアというのはどこからお金が出て、誰に払うのですか⁉~
Aさん:「おそらく大学側が出していて、私の負担はないです」
~冬になると雪で車椅子が埋まる、滑る、タイヤが雪に取られ電動車椅子の力だけでは通学が難しい事があると思います。冬の通学について聞かせてください~
Aさん:「冬も学生が来てくれます。シフトのような形で来てくれていました」
~教室内には有償ボランティアの学生がいたのですか⁉~
Aさん:「必要な人はお願いして、板書をしてもらっている人もいました。私は視力が悪いので行間が詰まっているものや、板書が早いものは目で追えなくなってしまいますし、難しい講義だと単位を落とす可能性も出てきてしまうので、ひとつの講義だけお願いしていました。」
~続きは、また次回投稿致しますので、お楽しみにしていて下さい! ~
作成者:渡邊、大内