「車椅子ユーザーが大学に通うための問題点や課題,困難を乗り越えた方法」第2段

前回の記事では、車椅子ユーザーAさんから通学や大学の支援体制について聞いた内容をお伝えしました。今回もその続編として、より深く大学生活での困難にどのような工夫で問題点をクリアし大学を卒業されたのか、車椅子ユーザーAさんの努力や周りの方々の協力、授業の受け方に焦点を当てていきます。第2段となるこの記事を通じて、新たな発見やみなさんの疑問点に寄り添えたら幸いです。

【Aさんプロフィール】

  • 性別:女性
  • 年齢:20代
  • 障害名:脳性マヒ
  • 電動車いすユーザー
  • 高等養護学校卒業後、大学進学し、社会福祉士の国家資格を取得。現在一般企業に就職し、フォーラムなどでの講演活動も行っている。

第1部の記事をご覧になりたい方

【教室や授業の中での困難は?】

~授業を受ける際ノートを取る事が難しい際には、教室内に有償ボランティアの学生がいたのですか?~

Aさん私はひとつの講義だけお願いしていました。視力が悪いので行間が詰まっているものや、板書が早いものは目で追えなくなってしまいますし、難しい講義だと単位を落とす可能性も出てきてしまうので」


~また授業中のノートを取る方法として、自分で書く方法とパソコンを使用する方法があると思いますがパソコンを選ばなかった理由は何かありますか?~

Aさん 「書く方がパソコンより得意だったので、まとめるのは遅いですがノートにまとめるのは得意でした。」


~例えば授業中に物を床に落としたりしたときなど、そのたびに人にお願いするのが「しんどいな」と感じる時はありましたか??~

Aさん「その当時は必死だったのかもしれませんが、車椅子だからできないというところを見せてしまうと距離ができちゃうと思っていて、そのような感情は見せないようにしていたかもしれません。その時は特に辛いという感情はなかったです」


カバンから物を取ってもらうなど、自分で取れないものがある場合どうされていましたか?~

Aさん同じ講義を受講している友人が多かったので、友人にお願いして取ってもらう等していました。

講義の中で友達を作ろうと思って自分から話しかけたりしていました。交友関係は広いほうが楽しいと思いますし、とにかくひとりになるのはいやだったと思います」


~例えば社交的ではない人だと友達も作りにくい、協力をお願いできなかったりしそうですが、そういう場合は?~

Aさん「そういう場合だと学校に相談して支援をお願いできると思います」


~学校側で支援がお願いできるのに、あえてその部分で支援をお願いしなかった理由は何かありますか?~

Aさん「必要がないのでお願いしなかった部分も大きいですが、私のこれまでの経験上、支援のため一緒にいてもらう形だと友達が作りづらいというのがあると思って。今までも地域の学校にいた時も友達が出来にくかったというのがあるので、そのような形はとりたくなかったです。」


~授業中、自分でノートを取っていた時は教科書のページめくりはどうされていましたか?~

Aさん「教科書は自分でめくれるので困っていませんでした。大学はレジュメが配られるので、レジュメに書き込んでいました。必ず購入が必要な教科書以外は必要があれば図書館で読むなどしていました。


~用紙がたくさんあると、どこに何を書き込んだかわからなくなってしまうなど、そういう経験はなかったですか?

Aさん「用紙がたくさんという状況はあまりなかったのですが、プロジェクターに映されたものを、目で文字を追えなかったり、レジュメのどこに書こうと考えているうちに、授業は進んでいくので、わからない箇所は飛ばして、あとから友達に聞いたりしていました。目で追うのが苦手なので講義を聴くことを意識していました


~授業中に記録がおいつかないときなどどうされていましたか?

Aさん「必要があれば携帯電話に記録をしたり、写真を撮って記録することはありました」


~授業中に教室の移動などあるときはどうしていましたか?~

Aさん学外でのフィールドワークで福祉施設に行くときは班になっていたので手伝ってもらったりしました。学内で階段でしか行けない教室に行く時はおんぶをしてもらったこともあります。福祉系の学生なので協力的だったと思います。周りには恵まれていたと思います」


~授業によって教室が違うと思うのですが、全ての教室は車いすで入れるのですか?

Aさん「はい、教室にスロープはなかったですが、教室内の前か後ろに椅子を外せる席があり、車いすでも入れました。


~学校の先生方は協力的でしたか? また工夫などありましたか?~

Aさん協力的です。先生方も気にかけてくれていたように思います。パソコンを打つのが早くなかったので、

卒論の文字おこしなどは友達に手伝ってもらっていいよ

とも言ってくれました。」


【更衣(着替え)について】

~学校に到着して上着を脱ぐ、脱いだ後の上着をしまうなどの動作は自分でされていたのですか?~

Aさん「脱げない時は友達に手伝ってもらっていました。」


【大学内の環境面について】

~学内でのお昼ご飯について、食べる場所や用意はどうされていましたか?~

Aさん「学食はバイキングのような形で取っていく形でしたが、友達が運んでくれたり、学食の方も顔見知りになり手伝ってくれました


~座る場所、テーブルの高さ、広さなど困ったことはありましたか?~

Aさん「私の場合はなかったです。」


~箸など学食に備え付けのもので食べていましたか?~

Aさん「学食にはスプーンなどもありました。私の場合、特別な自助具などは必要なかったので備え付けのもので問題なかったです。」


~学食で食べることが多かったのですか? 食べやすい環境等の理由から、あえて学食を選ばれていたのですか?

Aさん「ただ、単純に美味しかったからです。友達と行くので。国試前とかだったら空き時間はずっと友達と勉強していたので、その時はお弁当を持って行ったり。」


~学内の多目的トイレは形や広さはすべて一緒でしたか?~

Aさん「違う所もあったかもしれないけど私は困らなかったです。どうしても出来ないことがあった時は仲の良い友達にお願いしてみようかなって時もありましたが、当時の私はそういうことを頼むのはヘルパーさんみたくなっちゃうかな? と考えていてあまり頼まないようにしていました。」


〜学内にある掲示板の位置が高くて見えないなどありましたか?〜

Aさん「それは普通にありました。カメラでズームしてみたり、友達に写真を撮ってもらったりしていました。」


【冬場の通学】

~冬場の通学は?~

Aさん冬場は雪の中をかき分けて通学することも多かったです。私は学内でアルバイトもしていましたが雪まみれでは勤務できません。同じシフトの子がバケツや雑巾を用意してくれて、雪を落としてくれて勤務できていました。


【アルバイトについて】

~学内アルバイトはどんな事をされていましたか?~

Aさん「学生スタッフとして事務のアルバイトをしていました。アルバイトの経験をしてみたかった気持ちがあり、3年くらいしていました。」


~アルバイトはどのくらいの時間働いていましたか?~

Aさん「週1~2回で2時間くらいです。たくさん働いている人もいましたが、ヘルパーの都合や勉強、色んな事をしてみたいと思っていました。」


【電動車椅子のバッテリー】

~大学生活を送っている4年間で、電動車いすのバッテリーが切れてしまった事はありましたか?

Aさんバッテリーを2個持って行ったりしていました。アルバイトがある日は長く学校内にいることもありました。」


【Aさんと違う障害特性をお持ちの方についてアドバイス】

~大学入学の配慮について改めて聞きます。もしAさんと違う障害特性をお持ちの方についてアドバイスがあれば教えてください。

Aさん「お手洗いなど全介助の方は学内でヘルパーを使えないので大変かもしれません。私の卒業した大学には有償ボランティアがいたため利用できましたが、すべての大学に有償ボランティアがいるわけではないと思います。介助やお手伝いが必要な方は、事前に確認をしていただければと思います。


今回の第2部作の記事では、

「車椅子ユーザーが大学に通うための問題点や課題、困難を乗り越えた方法」

具体的な事例についてお伝えいたしました

次回の最終章では、実習に関する事前準備や苦労した点、工夫した点、国家試験の勉強法などを掲載したいと思います。

ぜひ、これから大学進学を目指そうとしている方の希望をいだけるような有益な情報をお届けできるよう考えています。ぜひ最後までお付き合いください。

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