日時 : 2025年10月29日(水)15:30~17:30
会場 : 札幌市民交流プラザ / クリエイティブスタジオ
主催 : 北海道・札幌市
■はじめに
障害の有無に関わらず、誰もが暮らしやすい地域づくりを考えることを目的に、
『北海道障害者差別解消フォーラム』が札幌市で開催されました。
基調講演やパネルディスカッションを通じて、“心のバリアフリー”について理解を深めることができました。
■プログラム
・北海道の取り組み紹介
・基調講演
・パネルディスカッション
・閉会
■北海道の取り組み紹介
北海道では『北海道障害者条例』に基づき、各地域で「暮らしやすいまちづくり委員会」を設置。
差別や困りごとの解消、合理的配慮の普及に向けた取り組みが進められていることが紹介されました。
■基調講演
テーマ : 「見えないバリアに気づける人でありたい」
講師 : 株式会社ムーンプロモーション 代表取締役 / 奥田 萌 氏
奥田氏は、障害や病気を抱える方々との出会いから、“想像する力”の大切さに気づいたと語りました。「想像することが思いやりの行動につながる」という言葉に、会場全体が深くうなずいていました。
■パネルディスカッション
テーマ : 改正障害者差別解消法と合理的配慮
① 井戸大輔 氏(コープさっぽろ)発言要旨
コープさっぽろで障害者雇用を担当する井戸氏は、同組織の雇用率が8.11%(2024年11月時点)と法定率を大きく上回ることを紹介。「数字のためではなく、社会的責任として雇用を進めている」と述べました。
合理的配慮 とは、「その人に合った関わり方を考えること」であると定義したうえで、
- 指示は写真や図で可視化する
- 情報は一つずつ伝える
- 抽象語ではなく具体的な言葉で伝える
- 合図などで意思疎通を工夫する
など、その人の個性に合わせた様々なアプローチを紹介。
また、 「同じ対応=平等」 ではなく 「特性に応じた対応=公平」 が大切だと説明されました。配慮は“してもらって当然”ではなく、本人の努力と職場の理解のすり合わせが必要と語り、さらに「正しいことは正しく伝える」姿勢が成長につながると強調されていたのが印象的でした。
② 今田マサ子 氏(DPI北海道ブロック会議 理事)発言要旨
幼少期にポリオを発症し、現在は車椅子を使用している今田氏は、長年当事者団体で活動してきた経験から、「北海道障害者条例は、差別解消法よりもさらに広く “暮らしやすい地域づくり” を掲げている点が重要」だと指摘。
合理的配慮の義務化だけで社会がすぐ変わるわけではなく、 「関心のない人にどう伝えていくか」 が今後の課題だと語りました。
③ WCウォーカー 氏(電動車椅子ユーザー)発言要旨
電動車椅子での外出時、入店が難しい店で店員が商品を外まで持ってきてくれた体験を紹介。
「設備を変えなくても、気づいて寄り添うことでバリアはなくなる」と語り、日常の小さな配慮が社会を変える力になると訴えました。
■おわりに
「障害があるから困るのではなく、理解や環境が整っていないことが困難を生む」
という奥田さんの言葉に強く共感しました。
障がいが、ある・なしに関わらず、お互いの不得意な部分を補い合うことで、誰もが安心して暮らせる社会に変わっていくのではないか――。支援に携わる立場として、“気づく力”と“想像する心”を大切にして利用者さんに係わっていきたいと改めて思いました。
今回の研修を通して、改めて合理的配慮について考える良い機会となりました。
大内・渡邊