(開催日:2025年10月4日/会場:IKEUCHI LAB イベントスペース)
はじめに
今回、『心のバリアフリー研修』に参加しました。
この研修は、障害の有無にかかわらず、誰もが働きやすく、暮らしやすい社会を目指すために、「一人ひとりがどのように“心のバリア”をなくしていけるか」を考える内容でした。
冒頭のあいさつでは、心のバリアフリー タイムカプセルカードという企画の紹介があり、「研修で得た気づきを書き留めたカードをクリスマスに自分のもとへ届ける――」という温かい工夫が印象的でした。
トークセッションからの学び
登壇者のS①さん(車椅子ユーザー・起業家)、Yさん(ピアサポート事業代表)、S②さん(視覚障がい当事者)のお三方によるトークセッションでは、「働く場で直面するバリアと乗り越え方」をテーマに、それぞれの実体験が語られました。
高校卒業後、一般企業に就職した際、合理的配慮が十分に理解されず、車椅子の持ち込みを禁止された経験を話されました。移動やトイレの制約の中で体を壊し、結果的に退職を余儀なくされたという体験は、当時の社会に「障がいに対する理解の不足」という大きなバリアがあったことを実感させられました。
一方で、現在は合理的配慮が少しずつ進み、社会が変わってきたことも感じられるお話でした。
Yさんは自身が双極性障害を抱えながらも、病気のある人も安心して働ける職場をつくる立場から、「“出勤時間を調整する”、“病院に通いやすいシフトにする”など、働き方の柔軟さが重要である」と語られました。無理に「普通」に合わせるのではなく、その人の体調や特性に合わせた働き方ができる環境づくりが「心のバリアフリー」につながるという言葉が印象に残りました。
S②さんは弱視の立場から、視覚に障害があることを周囲が知らない中で働くことの難しさを語られました。「見えないわけではない」という微妙な状態が誤解を生みやすく、「自分でもどこまで頑張ればいいのか分からなくなってしまう苦しさ」があったそうです。
今振り返ると、「できないと言い切るのではなく、周囲に状況を丁寧に伝えながら一緒に考えていくことが大切」だと話されていました。
企業と社会へのメッセージ
研修の中では、札幌市の『北海道キューブシステム株式会社』の取り組みも紹介されました。障害のある社員と企業の間に産業医が入り、第三者としてお互いの考えを整理し、働きやすい環境を整えているとのことでした。
「本人が自分の状態を語ることができれば、解決は早い」という産業医の言葉が示すように、対話と理解が心のバリアをなくす第一歩であると感じました。
まとめ
今回の研修を通して、「心のバリアフリー」は特別な取り組みではなく、相手を知り、自分を伝える勇気から始まることを学びました。
合理的配慮や制度の整備も大切ですが、それ以上に「理解しようとする姿勢」や「思いやりのある会話」が、日常の中でできることが心のバリアフリーにつながるのだと思います。
今後は、私自身も職場や地域で一人ひとりの立場に寄り添いながら、「“できること”を一緒に考えていく関わり」を心がけていきたいです。
大内、渡邊