2025年7月26日、札幌市のかでる2・7にて、『第50回 難病患者・障がい者と家族の全道集会』が盛大に開催されました。半世紀という大きな節目を迎えた今大会は『それが普通の社会へ ネクスト50』をスローガンに、会場とオンラインを繋いで行われ、多くの参加者が集いました。会場は多くの当事者や来場者でにぎわい、皆が熱心に話を聞いたり、交流を楽しむ様子が印象的でした。

はじめに:半世紀の歩みと、これからの50年
この集会は、難病を抱える患者さんとご家族が、日々の生活で感じている悩みや想いを社会に発信し、難病への理解を広げるために毎年開催されている大切な場です。主催する一般財団法人北海道難病連は、1973年に数名の患者さんと家族によって設立されて以来、北海道における難病対策の道を切り拓き、力強く活動してきました。50年という長い歳月の中で、多くの仲間と共に声を上げ、支え合い、社会を動かしてきた歴史があります。
開会式:未来に向けた力強いメッセージ
開会式では、北海道難病連の代表理事が「未来に向けての節目にしたい」と決意を新たにしました。続いて、北海道知事をはじめとする多くのご来賓から、温かく、そして心強い祝辞が寄せられました。「一人の声が政治を動かす」という言葉を裏付ける具体的な制度改善の事例や、新しい技術を活用した支援の可能性など、政治や行政が患者・家族の声に耳を傾け、共に行動しようとする姿勢が示されました。
患者・家族の声:希望と、生きる力
プログラムの中心は、当事者お一人おひとりの『声』でした。胸に響く、いくつかの発表がありました。
ビデオメッセージでは、あるお母様とそのお子さんが登場。車椅子での生活について、お子さん自身の言葉で「段差がスロープになればもっと一人で動ける」と語られ、その前向きな視点に会場が温かい空気に包まれました。また、お母様からは「私たちが発信することで、かつて自分が支えられたように、今度は誰かの心を温かくできたら」という想いが語られ、多様性を受け入れる社会の大切さを改めて感じさせてくれました。
続いて登壇されたご家族は、医療的ケアが必要なお子さんとの日々について語られました。ご家族の中心で元気に笑うお子さんの姿を紹介しながら、お母様が語った「この子の選べる未来を少しでも増やしたい。その未来のために私が道を切り開きます」という力強い言葉は、会場に大きな感動を呼びました。
進行性の難病と共に生きる、ある男性の半生も紹介されました。声を失い、体を動かせなくなっても、家族や多くの支援者と共に「生きる命」を選び続けた彼の物語。
「病になったからこそ出会えた人がいる。気づけた大切なことがある」
彼の言葉は、支え合うことの尊さ、そして「生きているだけで価値がある」という根源的なメッセージを、私たち一人ひとりに問いかけていました。
北海道難病連の決意:次の50年へ
基調報告では、次の50年に向けた北海道難病連の決意が示されました。
- 組織基盤の強化
- 相談事業の充実
- 小児・若年者支援の推進
- 自主財源の確保 など
「難病というものを、関係者だけのものにしない」
「それぞれの普通があっていい」
このスローガンに込められた想いは、私たちが目指すべき社会の姿そのものです。
おわりに:誰もが自分らしく生きられる社会へ
閉会式では、来年の函館大会への期待が語られました。この集会に参加して、「声」の持つ力の大きさを改めて実感しました。一人の声が仲間を集め、社会を動かし、制度を創り上げてきた50年。その歩みは、決して平坦なものではなかったはずです。
今回の全道集会に参加し、さまざまな立場の声にふれ、私自身、多くの学びと気づきを得ました。脳性麻痺の当事者であり、支援者でもある私(大内、渡邊)は、これからも学びを深め、できることを一つひとつ積み重ねながら、自分自身も努力を続けていきます。
大内、渡邊