活動報告

主催 札幌市自立支援協議会

研修会
~重度身体障がい者の地域生活を知る~


1. はじめに

 本研修は、重度身体障がい者の地域での暮らしや人権への理解を深め、支援体制の充実を図ることを目的に開催されました。

 当日は、当事者や支援者の視点を交えた講義や映像視聴に加え、参加者同士の意見交換を行うグループワーク、パネルディスカッションも実施され、実践的な気づきや学びを得られる充実したプログラム構成となっていました。


2. プロジェクトチームの活動紹介

2023年より始動した本プロジェクトチームは、重度身体障がい者の地域生活における実態、課題を把握し、支援の質を高めるための取り組みを進めてきました。

 主な活動としては、相談支援事業所や当事者を対象としたアンケート調査、地域生活に関する実態の把握、啓発動画の制作、実務者による支援事例の共有など、現場と連携した多角的なアプローチを展開しています。


3. アンケート調査結果の概要

 調査では、介護人材やサービス体制の不足、災害時の不安、医療連携の課題、情報共有の不十分さが主な問題として挙げられました。また、非定型申請手続きの複雑さ、支給量不足により、十分な支援が受けられないケースも報告されています。

 一方で、利用者からは、非定型申請により自分の生活に合わせた介護が受けやすくなったとの声もありました。


4. 講義「障がい者の人権について」

 医療法人稲生会 高波氏による講義では、障がい者の人権とは何か、日常生活での差別や偏見の現実について考えました。
「普通の生活の中で受ける不当な制限に敏感であること」の重要性が強調され、支援者としての意識を新たにする内容でした。


5. 重度身体障がい者の生活動画視聴

 日常生活の介助の様子を動画で学びました。複数の介助者が協力して安全を確保する様子、リフトや固定ベルトを用いた工夫、本人の意思尊重が印象的でした。
施設から地域での自由な生活へ移った当事者の喜びの声もあり、支援の大切さを改めて感じる機会となりました。


6. グループワーク・パネルディスカッション

 参加者はグループに分かれ、研修内容をもとに意見交換を行い、多様な視点から支援の課題や今後のあり方について活発な議論が交わされました。
 私たちのグループでは、「重度訪問介護で希望する支援時間数が確保できない」という課題が取り上げられました。定型の支給量では、本人の障害特性や生活実態に見合った支援時間が出にくい場合もあるため、非定型支給を活用するケースもありますが、更なる課題として介助者の人手不足が深刻であるという現状が共有されました。


 解決策のひとつとして、パーソナルアシスタント(PA)制度の活用についても意見が交わされ、支援体制の柔軟性や多様な視点の重要性について再認識できました。


 パネルディスカッションでは、当事者・家族・支援者・行政の方々が現場の声を共有し、支援の行き届かない時間帯や人材確保など具体的な課題について深く話し合いました。


7. おわりに

 本研修で明らかになった課題は、介護人材不足、医療連携不足、申請手続きの複雑さなど多岐にわたります。今後は、制度の改善や人材確保、地域連携の強化、申請手続きの簡素化を進めることが不可欠です。


8. 感想

 今回の研修に参加して、重度障がいを持つ方々の生活は、人手不足や制度上の問題も含め、まだまだ課題があると感じました。研修会には、行政の方々も複数参加しており、現場の声や当事者の声を伝えられたことが、大変良かったと思います。動画での生活の様子は、文字や数字だけでは伝わらない「現場のリアル」を強く感じさせるものでした。

 また、当事者の方が「当たり前の暮らし」を願い、支援者や行政と共に課題解決に取り組んでいる姿に感銘を受けました。

 これからも利用者一人ひとりの尊厳を守り、多様なニーズに応える支援を目指し、学びを現場で活かしていきたいと思います。

PAGE TOP